モ ナ ド の 夢

モ ナ ド の 夢

唐沢俊一氏の宇宙学批判に答える&エジソンの霊魂観

 唐沢俊一氏が自身のブログで、宇宙学の『神霊星界通信記録』について次のような批評を述べている。
 
「昭和47年発行の本で、宇宙創造神からの言葉を人間界に伝える器械として選ばれた田原澄女史(昭和40年没)が 心霊星界チャネリングして伝えた“優良”星界の神霊たちの言葉集である。一冊を抜き取ってパラパラめくってみただけで、悪のオリオン星人たちの陰謀で地球人の知恵を流行に乗せて働かなくさせるためにダッコちゃんをはやらせた、などと出てきて非常に結構。キリストや日蓮仏陀が宇宙創造神に教えの間違いを指摘されて悔い改めたり、明治天皇が“明治である”と名乗って出てきたり、なんだ『幸福の科学』の霊言はみんなこの宇宙創造神のメッセージの二番煎じか、ということがわかる。
 時は米ソ競っての宇宙時代だけに土星の悪魔だのオリオンの悪魔だのも出てくるのであろう。有名な宇宙友好協会(CBA)の集会にも顔を出しているようだし、また心霊研究で著名な小田秀人の講演も聞きに行っている。非常に活発に活動していたらしいが、宇宙友好協会の会合では“円盤を追うことなく、自分の心を洗う(洗心)の行こそ必要”などと説き、けむたがられたらしい。後で悪口を言っている。
アポロがこの時期、月を目指しており、月に人が棲んでいると主張していたメッセージが否定されてはまずいと思ったのか、人間が疑いの心で月にロケットを飛ばし、あぶないので、すでに月からは引っ越して、今から行っても誰もおらぬ、などと言い抜けているのが笑える。」


「宇宙友好協会の会合では“円盤を追うことなく、自分の心を洗う(洗心)の行こそ必要”などと説き、けむたがられたらしい。後で悪口を言っている。」とあるが、心を正すことの方が大事ではないのか、と批判したのであって悪口ではない。“批判”を“悪口”と表現するところを見ると、自身の著作において盗作疑惑を持たれた過去のある唐沢氏には、「洗心」云々というのは耳が痛かったのであろうか。
 「‥すでに月からは引っ越して、今から行っても誰もおらぬ、などと言い抜けているのが笑える。」ともあるが、この頃、月への探査の可能性も議論されていたのであるから、後から否定しなければならない羽目に陥るのは充分予想できることである。宇宙学の通信がもし創作であるなら、最初から、月に人が住んでいるなどと言わなければ済む話であって、宇宙創造神であるかどうかは別として、高次元の霊的存在からの通信であったのは事実であったと思う。そもそも、宇宙学の主張を虚偽であると断ずるには、元から宇宙人など住んでいなかったことを証明する必要があるが、居なかったどころか宇宙人と遭遇したという説も根強くあり、一時退却して監視をしていた可能性は否定できない。

 アポロ計画には、アメリカの国家予算の5%にも上る巨額の金と8年以上の年月を要した。そして実に2万もの工場と50万人もの人手が掛かっている。これだけの壮大な計画が確実な見通しなしで実行されたとは考えにくく、仮に映像が捏造だとしても、何らかの理由(恐らくは宇宙人,UFO等が映ってしまった)で本物が公開されなかっただけで、月面に着陸したのは事実だと思う。

 アポロ計画といえば、その指導者はもちろんフォン・ブラウン(1912-77)である。ナチス・ドイツ時代に彼が開発した、かの名高いV2ミサイルは、プロペラ機が主流の時代に音速の3倍の速度で成層圏を超えて飛行したというから驚きである。レーダーで補足できず、防御のしようがない連合国側は恐怖に慄いた。そして、フォン・ブラウンはただのロケット工学者ではないという評もある。

 「アポロ計画のような巨大規模の開発を達成するには、もはやロケット工学だけで済む訳がない。ほかに通信工学、制御工学、電子工学、医学、心理学その他、多数の学者と技術者を組織し、これら諸分野が密接に連携するよう運んでいかなければならない。それには、全体を見渡す幅の広さを持ちながら専門家を統括する能力のあるシステム技術者が必要なのである。そしてフォン・ブラウンは、このシステム工学の偉大な天才なのであった。」『超常識のサイエンス』(学研刊 梁瀬光世 著)
 
 彼は、宇宙に行くためなら悪魔に魂を売り渡してもよいと思った、と後に述懐している位であるから、ガチガチの科学至上主義者かと思いきや、晩年、次のような生命観を述べている。

「科学はどんなものでも跡形もなく消滅することはありえないということを発見しました。自然は消滅ということを知らないのです。自然が知っている全てのことは変形なのです。もし神が宇宙の中の最もささやかでつまらない部分にまでこの根本原理を適用しているとすれば、神がその被造物の中の傑作である人間の霊魂に対してもこの原理を適用していると仮定しても何の不都合もありますまい。私はその通りだと考えています。科学が私に教えてくれた全てのことーそして今もなお教え続けている全てのこと−は私達の霊的存在が死後も続くという私の信仰を強めてくれました。」

 1975年夏、フォン・ブラウンは大腸にガンが発生していることが判明した。ガンはやがて肝臓にも転移した。(中略)死が迫って来るにつれて、彼はうわごとを漏らすようになった。それは宇宙の星座の彼方を翔んでいる夢であった。目覚めているとき、彼は娘のアイリスに言った。
 
「宇宙への飛行は、生命の起源を探るためだ。宇宙は生命の故郷だ。生命の起源を知れば、ガンの治療も可能となる」
 1977年6月16日、彼は「私はいま銀河系を脱出しようとしている。10万光年・・・・10億光年・・・・」とつぶやき、「ノヴァ(新星)」と言って、息を引きとった。
     
 参考文献:『宇宙への挑戦者 フォン・ブラウン』(文研出版)、『宇宙に挑む』(コロナ社)、『人間臨終図巻 下巻』(徳間書店)

 

 フォン・ブラウンと並んで現代文明に大きな貢献を為した人物と言えばエジソンである。『快人エジソン』(浜田和幸著 日経ビジネス人文庫)を読むとそのスケールの大きさには改めて驚かされる。彼は超多忙な実験生活の合間、毎日3冊は古今東西の本を読破するという超読書家でもあった。百科事典から警察新聞、ゲーテからマーク・トウェイン、化学や薬品の専門書から外国の文化や歴史書、あらゆる宗教の経典、といった実に幅広いものであり、蔵書は数万冊に及んでいたというから並の発明家ではない。
 彼が残したメモ類は500万枚という膨大な量で、その整理、分類、解析が国家プロジェクトとして1978年から始まったが、その完成は早くて2015年と言われるほどである。
 「人間には木の葉や草花を発明することはできない。それができるまで、自然は我々が『科学的知識』と思い込んでいるものを笑い飛ばすだろう。」というエジソンの言葉が冒頭に紹介されている前掲書の「第3章 霊という名の電子集団」から彼の宇宙観、霊魂観を紹介したい。

 超能力者として評判のヘレナ・ブラバッキーが主宰する霊界との交信セミナーに出席し意見交換を重ねるうちに、エジソンは「自分は1,00を超える発明をし、世界の発明王などと言われているが、実際は、自分が発明したのではなく、宇宙という大きな存在からメッセージを受け取り、自分なりの記録をとったにすぎない。つまり、自分自身が自然界からのメッセージの受信機であった」と言うようになった。‥‥エネルギーが不変である限り、人間の魂は宇宙の中で無くなることはない。魂や心は肉体から離れても、エネルギー自体は存在し統けると考えるようになった。そして、このエネルギーの蓄積こそが人間の記憶の元になる、と仮説を立てたのである。 (p85-86)
 
 『サイエンティフィック・アメリカン』誌の1920年10月号に載ったエジソンのコメントは、彼の霊への関心の高さを今に伝えている。「私は、我々の人格が他の生命体や別の宇宙に移動するかどうか確たる判断をしかねている。今のところ、誰にもはっきりとはわかっていない。どんなに微細なメッセージであろうとも、我々以外の生命体や別の宇宙から送られてきているものがあると仮定すれば、それを受け取るには占い師や霊媒師以外に、より科学的な受信装置が考案できると思う。また、同時にこちらの意思を通信できる装置もできるはずである」

 エジソンの考えていた霊とのコミュニケーション装置は、発電所の蒸気タービンを動かす弁をヒントにしていたようである。ちょうど8分の1馬力の人が5万馬力のタービンを始動させることができるように、人間の脳(意識)から出るエネルギーを拡大する装置を作り、未知の領域に入っていこうとしたのである。(p.98)
エジソンが霊との通信機械を発明しようと試みていることを最初に明らかにしたのは、1920年10月の『フォープス』誌上であった。インタビューに答える形で、エジソンは「人間の潜在意識を構成している電子生命体の集団は元々地球外からやって来た存在である」との仮説を披露している。
我々の人格を左右するこれら生命体は肉体が滅びた後は、新たな宿り先を求めて移動を繰り返す、と考えたエジソンは、彼らが発する残された生命体へのメッセージを受けとめる機械も作れるに違いないと思ったようである。(p.101)

次回、宇宙学の教えの概要を紹介し、続けて「宇宙の真理」宇宙学篇を紹介したいと思います。